家は暖かい光で満たされていると落ち着いた場所になります。夜の灯りは団らんの光です。必要以上に明るい必要ありません。夜の際の光は、夕方の日の光のように暖かい光がよいと思っています。
自然に従えば夜が暗いのは当たり前のことです。光の発明は夜も昼のようなものにしてしまいました。人にとって夜の光の原初的なイメージは焚火です。焚火に人が集まるような光の在り方で家を照らしたいと思っています。
部屋全体が明るいよりも人の居場所に寄り添うような灯りを考えています。ペンダントライトで照らされるダイニングの光は人が集うための灯りです。
暗闇は家を昼とは違う奥深い表情を作ります。暗闇を残すことによって私たちは光の温かさを感じ、暗闇に身を沈め思索を深めたりすることができます。暗闇は想像力の根源です。見えないからこそ想像できる余地が残ります。
豊かな暗闇のために照明器具を天井につけると日の光のように上から注ぐような光になるため出来るだけ天井には器具をつけないようにします。壁に付けた照明器具の反射光で柔らかい光にしています。灯りが足りないときはスタンドを使って明るさを補います。スタンドは移動可能なものであるので使い勝手に応じて場所を変えてあげることで部屋の雰囲気も大きく変わります。
暗闇を残しつつ灯りをともすことで家には夜ならでは表情が作られます。