真田の家

上田市郊外、山並みに抱かれ田園が広がる静かな環境に建つ住宅である。ここに家族4人のための住まいを建築することとなった。

平面計画は正方形から角を落とした形とし、その部分に大きな開口を設けて風景を取り込んでいる。
配置は真南ではなく、北と南双方の眺望に配慮して軸をわずかに振り、周囲の山並みや田園を日常の背景に据えた。

内部は大きな吹抜けを中心に、東西に諸室を配した対称性のある構成である。対角線を軸とした計画は構造的安定をもたらすとともに、動線と視線を雁行させ、1階のリビング・ダイニングと2階のホールを緩やかにつなぐ。これにより南北へ視線と風が抜け、開放感と通風を得ている。


南面の窓には内側に建具を設け、日射を調整できるようにした。開閉によって内部からの景色のプロポーションが変化し、季節や時間帯に応じて多様な体験が生まれる。冬季は薪ストーブを用い、付加断熱による高断熱性能とともに、床下に送風ファンを設置して上部にたまった熱を循環させ、居住全体に行き渡らせている。

鉄骨階段は軽やかな印象を得るため、木の片持ち張りに乗せるようなディテールとした。アプローチはLDを見渡しながら上階へ導くとともに、その下部にくつろぎの場を設けている。天井の高い吹抜け空間の中にあっても、メリハリと居心地の良さを生む工夫をした。

用途:住宅

所在地:長野県上田市